榊さん画帳 + キャラクターデザイン帳
デザイン・作画:長崎祐子
うっかり描きすぎた榊さん置き場 デザイン帳も併設したよ
2021.07.16 キャラクターデザイン帳 追加
2021.07.08 更新
2021.06.24 更新
2021.03.23 開設
→「東方伝奇」本編 / 「東方伝奇」キャラクターイラスト・デザイン画集
“Freedom”
“刃 -榊 秀臣-”
-魂に火をつけろ-
この絵を描いていた時のヘビロテ曲はB'Zの「FIREBALL」 ギラギラしたイメージというか。 上背はあって下半身が細めなスタイルはスーツが似合う。
眼鏡とドス Vシネ四天王がしていたポーズをさせてみた
首元を緩める
サングラスはブラウンのグラデーション
烏鵲堂事件簿「4年目の復讐劇」用のデザインラフ。 スーツのベスト姿で弓矢を射るというちょっぴりフェチなこだわり。 小説に書いてほしいシチュエーションなんかを描いて見せるんだけど、本編めちゃくちゃかっこいい仕上がりだったね! さすがあきら君。
恋しちゃってるかもしれない。
オフ時 下ろした髪の隙間から鋭い目がのぞく
クルージング中・1(こんなラフを描きながらあきら君と雑談していたらライアンの夢ネタに発展してしまった。ごめん榊さん)
クルージング中・2 きっと夢の映像だね
雪山のコテージにて ライアンの妄想目線なのか顔が近い しかも表情が穏やか
ライアンとのビデオチャットで魂が抜けてしまった…
烏鵲堂日和「モノクロームのスケッチ」 密かに異母兄を描き続ける結紀。
脱ぐ(2人の男性に恋されてるけど本人はヘテロ)
眼鏡と時計
タバコ 一瞥
弟には常に優しく正しい、ヘテロセクシュアルな異母兄。 結紀はそんな彼を描き続ける。 現実の姿よりも冷酷で凶悪な姿で描かれるのは、結紀自身の絶望感や罪悪感が投影されているからかもしれない。
烏鵲堂日和「モノクロームのスケッチ」読んだ後のイメージカット。 昔みたいに気さくに「おっ見せてみろよ」ってひょいと取り上げてみたら…。 ショックのあまり記憶が消し飛んでしまいそうだ。 結紀の描くスケッチはストイックに生きる榊さんにとって身に覚えのない姿なのだろう。
結紀が延々と描き続けているスケッチブックをライアンが見たら絶賛して一冊もらい受けるかも…という、もしかしたらの話。 描かれているのは自分には一度も見せたことが無い英臣の姿。 己が求める、己を満たす全てがそこにある。 だが一方で、この絵に描かれている英臣が女を愛する男の姿だという厳しい現実をも見せつけられる。
“手に入らないもの”
キャラクターデザイン帳
「東方伝奇」連載時にキャラクターイラストの着手をして丁度1年、キャラデザについてちょっとまとめてみましたよ☆
「東方」はアクションとグルメと友情と、娯楽要素を欲張りに盛り込んだエンタメ小説で、その作品の面白さはこのページをご覧になってる読者の方々には、十分お解りいただけてると思う。 私もまた小説の熱心な読者の一人である。
本文中に書かれた人物像を読み取りつつ、キャラ造形に必要な趣味や嗜好、内面の肉付けを提案しながら、顔立ちや体型、髪型や服装を練り上ゲていった…というのが私の作業工程。 このデザインのキャラにはこういうシチュエーションが似合う、という素案も提案したりしている。
どのキャラもじっくり作り上げた良いデザインだと思っているし、何よりあきら氏の巧妙な語り口で躍動する彼らを見るのがとても楽しい。【曹瑛】
私の「東方」キャラデザ活動は、瑛さんという非常に魅力的なキャラクターに惚れこんだ時から始まった。 クールでミステリアスで可愛いところもあるこの主人公を、是非描き起こしてみたいという意欲に駆られてしまった。 顔の造形は「東方」5話の描写から。 きりりと一文字に引いた眉と涼し気な目元。 顔のベースは、モデルにしたという中華俳優・リウファンさんの顔立ちも少々踏襲している。 瑛さんは実年齢(35歳)よりも若い風貌をしており、実年齢と見た目年齢、ハンサムと美青年のいいとこどりができる男性像となっている。
瞳はクールな雰囲気を出すためにグレーをチョイス。
髪型は基本「頭文字D」と同じヘアスタイル。 前髪に表情を付けて、後頭部に少しボリュームを加えてシルエットに特徴を出した。 なお、後頭部のボリュームはありすぎると子供っぽく見えるし、無いと真面目過ぎる印象になってくる。 ニュアンスの調整はとても大事だといつも思う。
体型は骨格から美しい人という設定で描くようにしている。 細身の瑛さんは骨が出っ張ったところ、特に鎖骨と腰骨あたりがセクシーなチャームポイント。
モデルのリウファンさんの服装がかなり野暮ったく、初期の本文中の瑛さんもそれが反映されていたようで、瑛さんの服装もだいぶ方向修正した。
当初は金の極太ネックレス(!)やゴツめの指輪をふんだんに身に着けていたが、彼のストイックな性格や、端正な魅力を引き立たせるために、全体的にシックかつシンプルな装いにまとめた。 装身具はタイピンと時計といった、必要最小限なものに。 黒の上下と深い赤のネクタイのスーツ姿、烏鵲堂制服である黒の長袍と、シックな服装は彼の美しい容姿を更に引き立てているはず。
ただし、瑛さん自身の服装センス自体は疎くて、スーツはテーラー任せ、よそ行きは店員チョイスで無難な格好という一方で、部屋着はかなりダサいという設定。 ここは、ギャップ萌えポイントでもある。
香水:シャネル ブルー・ドゥ・シャネル。 爽やかさとビターさ、スパイシーさが特徴で、あまり男臭さがないのが瑛さんのイメージに合っている。
時計:ロレックス オイスターパーペチュアル。 組長である榊さん父の贈り物。 極道がいかにも選びやすそうなブランドではあるが、シンプルで飽きの来ないデザイン。 異伝「赤い糸」で榊さん父が瑛さんのスーツ一式を見繕ってあげるシーンはデザインした身にとってとても感動的だった。
バイク:カワサキ Ninja H2 CARBON 長身でスタイルの良い瑛さんにはレザーのライダースーツが似合うだろうということで、バイクを提案。 Ninjaは世界一クールなデザインのバイクだと思っている。
タバコ:マルボロ あきら君のチョイス。 黒のスーツに良く似合っている。
サングラス:タイプは色違いのものを何本か所有。 瑛さん自身深いこだわりはないが、ポリス社のものが自己主張が強くなくてクール。 ちなみにアイキャッチイラストの黒い丸メガネはあきら君のチョイス。 リウファンさんが戦中ドラマでかけていたものらしい(私は描いた後にそれを知って、今時の中国人は黒丸メガネかけるのか?これってダサいアイテムなのか?と冷や汗が出てしまった)
【宮野伊織】
東方連載時から外見の描写がほぼ無い伊織。 作中での伊織はよく笑い、よく泣き、そしてご飯をおいしそうに食べる。 平凡ではあるが、表情豊かな、人としての魅力のある男性なのがよく伝わってくる。 ボーダーのシャツを着た気取らない格好や、気さくな言動のイメージから外見をデザインしていった。 平凡ではあるがお人好しな日本人を具現化したような風貌に仕上がったのではないか。
瑛さんとの友情が描かれる伊織のキャラデザは、あくまでバディというジャンルにこだわっている。 ボーイズラブ風な雰囲気にならないように、顔立ちも体型も色気を抑えたという所が一番のポイントかもしれない。
「烏鵲堂」に入ってから腕っぷしの強い美男キャラが増えたせいか、男らしい活躍が減ってきた感じがしてきた。 なので、さっぱりした大人の男らしい雰囲気へのマイナーチェンジを提案した(上が現時点のイメージ)。 男のドラマに必要なキャラデザ要素は「雰囲気づくり」なのだろうと思っている。
また、平凡な容貌を埋没させずに活かすべく、ファッショナブルすぎる服装を着せてみたらどうだろうと提案中。
服装はユニクロやしまむら、スーツも青山かはるやま等の一般的なもの。
香水は特になし。 時計はあきら氏によると就職祝いにおじいちゃんから貰ったセイコー社のもの、とのこと。
【榊英臣】あきら氏からの当初の注文内容は以下の通り:実年齢(32歳)よりも年上に見える。 ピンストライプのダブルスーツ。 髪型やオールバックかリーゼント。 体型は瑛さんよりもやや逞しい。 俳優の北村一輝さんに近いイメージ。
北村さんはハンサムだけどどうもイメージに合わなかったので顔はベースから作ることにした。 榊さんのキャラデザのインスピレーションは「東方伝奇」30話「カクテルの名は再会」から。 バーで瑛さんと対峙するシーンが非常にカッコよく、このシーンが一番映える男性像という方向で進めていった。 そして出来上がったのが色白で甘いマスクの瑛さんとは対照的な、肌色の濃いギラつく眼光のシャープな顔立ちの、全てにおいて瑛さんと張り合えるくらい良い男。
体型もスーツが似合うように、上半身に比べて下半身はややスリムというデザインにした。 縦2つに割れた腹筋と小尻がチャームポイント。 チャームポイントといえば、鋭利な顔立ちにはちょっと意外でなおかつセクシーな厚めの唇もね。 スーツは黒のピンストライプの上下にグレーのシャツ、ネクタイは青やラベンダーなど。 ピンストライプは初期の本文描写からだが、最近はシャドウストライプメインで描きたいところ。
それから、当初のVシネマの極道っぽい雰囲気やポマードの芳香を消すためにハイブランド(ブルガリ)の似合う男という方向で身に着けるものを決め、佇まいを洗練させた。 髪型もちょっと前髪を垂らした伊達男風に。 オフの時は前髪を下ろしており、ビシッと決めたオンと飾り気のないオフのギャップの旨味も出しておいた。 愛用の小物類はブルガリで統一されている。
あまりにも洗練された男だととっつきにくいのではと、オフの時は長い前髪を下ろし、もさっとした雰囲気にした(これもこれでギャップ萌えポイント)
香水:ブルガリ ソワール 知的な雰囲気の漂う落ち着いた雰囲気は榊さんにピッタリ。 フェロモンのようについ惹きつけられる甘さもある。 ソワールは2021年現在廃盤になってしまい、替わりの愛用品を物色中。
時計:オクト ローマ 全体的に重厚にして端正なデザインのブルガリのメンズ用アイテムは榊さんのイメージにとても合っている。
バイク:ホンダ シャドウ(シルバー) アメリカンバイク乗せたいと提案した上で見繕ったのがシャドウ。 榊さんの若い頃は素晴らしいデザインの国産アメリカンがまだ多く出回っていた。 シャドウは車体が低めで重量感があり、個人的に寡黙な男が独りで乗り回してそうな雰囲気というイメージがある。 彼が高校時代に乗っていたバイクだが、本編では現在、結紀の愛車として登場している。
タバコとライター:あきら氏の見立てでフィリップモリスとデュポン。
眼鏡:デュポン社は眼鏡フレームも作っている(しかも榊さん愛用の品にそっくり)ことを後で調べて知って、愛用の縁なし眼鏡もデュポン社製ということにしておいた。
亀:あきら君との間で時々榊さんは実は根暗なんじゃないかと言い合っており、そんな彼にペットがいてもいいんじゃないかと話し合った末の亀。 亀…。
【高谷結紀】キャラデザ着手した時点では、「東方」の容姿の描写は「形の良い眉」という表現のみだったが、そこから美青年だろうと想像してデザインしていった。 異母兄の榊さんとは、対照的な甘めの顔だちで、厚めの唇という点は兄弟の共通点であり、チャームポイント。 美青年だがちゃんと男性の顔立ちという点がこだわりポイント。 他の男性キャラは渋めな大人ばかりなので、若い子ならばとアクセも多めにあしらっている。 いくつも耳に空けたピアスは繊細さや複雑さの表れかもしれない。
確かあきら氏が「結紀は榊さんが好き(=兄として慕っている)」と言っていたのを、私が「こんな男前な兄だったら道ならぬ恋しても仕方ない」と解釈してしまい、同性愛色を濃厚にさせてしまった。
絵が得意という本文の設定から、兄の肖像画を密かにせっせと描いてることだろうとも想像を飛躍させて、私自身もせっせと高谷のスケッチブックの中身を描いてしまった。 若く賢い彼はシビアな現状に悩み傷つき、ネガティブなタイプの絵を描いてるんじゃないのだろうか…。 好きな画家はウィリアムブレイク等の病んだタイプとか。 後で意味の取違いだと知ったけど、あきら氏も気に入ってるようだし、これはこれで深みのある魅力的なキャラに育ってるんじゃないかな。
シルバーの太目の指輪はブルガリのビーゼロワン。 榊さんと買い物についていっておねだりしたものかもしれない。
羽型のシルバーネックレス、当初あまり気にせずあしらったものだが、後であきら氏が元彼・秋生が作ったものという設定にした。 あきら君はこういう素材の活かし方がとても上手い。
【劉玲】確か瑛さんの次にデザインラフを描いたのは兄の劉玲だった。瑛さんとベースが同じで、ちょっと老けさせて陽気な感じにしたらいいだろう程度にしか考えていなかった。 仕上がった兄貴像は、まあそれなりにかっこいい男に仕上がってはいるが、何だかつまらない男だった。 この辺りから魅力的なキャラデザって何だろうと本気で考えるようになった。
表向きの陽気な顔と裏社会の顔、二面性のある表情と無精ひげを生やしてみると、一気に独り歩きしそうなキャラに成長したようだ。
今回のキャラクターは全てそれぞれ瞳の描写にこだわっていて、光の入れ方がそれぞれ違っている。 曹瑛の瞳の光はミステリアスさを出すためにごく控えめ、瞳の色は基本無彩色(演出で何かしら色味を入れる場合もある)。 榊は光彩の色が飛ぶほどにギラギラした眼光。 劉玲は己の生きてきた暗い世界を睥睨するかのごとく、瞳の下部にのみ光を入れている。
瑛さんと揃いで黒い長袍を着たら最高にカッコいい。
スーツはダンヒル。 香水はダンヒルのアイコンレーシング。 爽やかで甘さも渋さもあり兄貴にピッタリなイメージ。
【孫景】孫景のキャラデザは本編の態度などから起こしていった。
本編に沿ったデザインという感触はあったけど、もう一味足りない感じが付きまとっていた。実際「東方」本編では萌えポイントがもっとほしかったという気持ちもあり、そこでキャラデザで何か提案できないものかと考え込んだ。
まず孫さんは長身で筋肉質の体格である。いい大人だからスーツの一着くらい持っているだろうということで、スーツのブランドはヒューゴボスを推してみた。 現在は体格のいいスポーツ選手のオーダーメイドを手掛けているブランドとのこと。 小物も同じブランドで揃えた方がいいだろうかと、香水もヒューゴボスを推してみた。 男らしさというよりも花のような甘さのある香水だが、その意外性が孫さんの魅力に一役買っているように思える。
ちなみにショップ巡りをした際、ヒューゴボスの店員さんから「旦那様にですか?」と訊かれてとっさにハイと応えてしまった(独身)。 今だけ旦那様は孫さんということにしておいた。
【ライアン・ハンター】「榊さんって外国人に好かれる東洋系ハンサム(切れ長の目、頬骨と顎の骨がしっかりしている)」…とあきら君に話したら、「烏鵲堂事件簿」で榊さんに惚れる男を登場させてきた。 内心「外国人の女性に」…と驚かされたけど、大変魅力的なキャラに仕上がったので結果良かったんじゃないんだろうか。
初登場時の「古風なハンサム」という表現から起こしていった。 あきら君的にはヒース・レジャーみたいなひと昔前の映画スターだったそうだが、私は50年代くらいの映画スターという所からデザインを詰めていった。
ライアンは動物に例えると豹。 しなやかな物腰のこのゲイ男性のブランドイメージはカルティエ。 丁度銀座のブルガリのショップの向かいにあるから、いつか榊さんと鉢合わせしたら面白そうだと目論んでいる。
【獅子堂和馬】初登場時は金髪を逆立てた革ジャケットの巨漢という描写からデザインを起こしていった。
今までと違った美形が欲しいということで、沖縄か北海道の血を引く濃いめの顔立ちはどうかと提案。 私の出身地の宮古島は大柄な人が多いのもあってそちらの出身ということにした。
裏社会の者が集ってる割には刺青をしたキャラがいなかったので、彼の胴体には「ハジチ(針突)」をモチーフにしたタトゥーを入れることに。 あきら君から米軍兵とのハーフという設定が追加されて、これはあり得ないかなとは思ったけど瞳の色は青にした。
内面性の作り込みがまだ足りない気もするので、これからのキャラとしての成長に期待。
【刑部千弥】登場前に孫さんテコ入れ用にオカマちゃんのキャバ嬢を出したい、という注文が入る。
今まで渋いメンズキャラを揃えた中に、派手なキャバ嬢は浮いちゃうかなと思って、こちらからはクールなビジネスウーマンを提案。 もちろん元は男性という設定はそのままで。 顔の造形は女優・モデルのすみれさんのような感じ。
武骨な孫さんに洗練された美人が惚れるという図式がとても微笑ましい。
【郭皓淳】登場時は「ヒゲの針使い」というざっくりしたキャラ造形。 キャラに肉付けをするのが私のデザイン作業の一環っぽくなってきた。
今までのキャラとかぶらないように、「派手な男」を提案。 むさくるしくない範囲でひげを生やして、中国人らしい野暮ったいファッションセンスながらも、顔とスタイルが良いからどんなに珍奇なファッションでも似合う。 一般人が着ると似合わないヴェルサーチだってちゃんと着こなせる。
「烏鵲堂」が進むにつれて出番が少なくなってきた伊織に、とんでもない服を与えるという役どころも得て、結果伊織も目立つようになってきてよかったんじゃないんだろうか。
Yuko Nagasaki Twitter @nukopin